最近、北海道では既存の治山ダムの複断面化を数カ所で行なっています。
うちの職場管理する治山ダムでも複断面化が行われていて、
先日某大学の先生を呼んで検討委員会のようなものが行われました。
私は立場上治山担当ではないのですが、同僚の治山担当から経験に基づいた相談を受けていて、
アドバイスというか私の経験上のわかったことをいくつか伝えていました。
私が前の職場いくつかの治山ダムや沢をみていて気がついたことは、
1)複断面の水通し部分がコンクリート面だと、流速が早くなるので下流側が掘れる。
これは落差ゼロでも、必ず掘れるので、複断面部分は地面に埋めるようにして、
水が流れるところは土砂で埋めたほうが良い。
2)治山ダムの複断面化を行う場合に一番重要なのは、どの高さで沢を維持するかである。
複断面化したダム上下20m程度でものを考えるのではなく、沢全体の河床勾配や、
淵や瀬の位置、屈曲箇所の水の流れなど、全体をしかも三次元で考えなければならない。
3)複断面の下流などでプールなどを作ろうと、巨石などをただ並べるだけではまったく
意味が無い。石を置く高さ、方向、幅などをよく考えなければならない。
練積みにしたり、ワイヤーで固定したりするのは全く意味が無い。
4)コンクリートや積みブロック擁壁を水衝部に作ると、必ず前面基礎部分が洗掘される。
コンクリート面に流水が沿って流れると、流速が上がるため。
検討委員会には、立場が違うので参加できなく、同僚の担当者が私の提案を説明してくれたのですが、
大学の先生や設計コンサルタントなどからは否定され、結局従来工法のようになってしまったようです。
流水面がコンクリートであることは、洗掘と関係無いような話があったようですが、
絶対に関係あります。
複断面の下流に流速の減衰効果を狙ってプールを作るそうですが、いらないと思います。
ましてやコンクリートを3面に貼ったプールなどいらないでしょう。
絶対に埋まります。(埋まるのはいいことですが)
複断面ダムを初めて、すでに10年位はたつでしょう。未熟な技術で始めた工法なのですから、
一度すべての治山ダムを見てみるべきです。(複断面以外も含めて)
河川に作った擁壁も見てみるべきでしょう。ほとんどは前側が洗掘されておると思います。
見直すことでいろいろなヒントがあるでしょう。
計算だけで出てくる結果とは違う結果を自然は見せつけるとおもいます。
私の考えにも間違いはあると思います。
でも感覚的なものは間違い無いと信じています。
公務員は過去に行った事業を正当化しようと頑張ることが多いですが、
当時は正しくても、いまは違うこともたくさんあります。
今は違うんだ、だからこう変えるのだ、と胸を張って言えることが大事なような気がします。
そのためには、もう一度今までやってきたことを振り返ることが必要だと思います。
なんか愚痴っぽくなっちゃいましたね。
まだまだ言いたいことはありますが、以前の例もありますので、
かなり言葉は選んだつもりです。