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2017年06月03日
【QGIS】枠外にラベルを置くときにラベルまでラインを引く方法
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2016年11月22日
知床半島の立体図(CS立体図)を作成してみた
注意!この記事はかなり古い情報です。現在のQGISとは操作方法が違いますので注意してください
2016年11月19日放送の「ブラタモリ」で、知床の地形について説明していたので、知床の立体図を作成してみた。
図 知床の羅臼岳周辺の立体図
また、2016年8月24日に大雨の影響で、羅臼において土砂崩れが発生しています。
この箇所の地形を立体図でアップにしてみました。10mメッシュですので少し荒いですが、地形がよくわかります。
土砂崩れした箇所は、マウスカーソルの十字がある場所です。
QGISのプロセッシングツール「SAGA」→「Slope aspect corvature」コマンドで作成できる様々な地図を傾斜図に重ねてみました。
図 傾斜図(Slope)のみ
図 傾斜図(Slope)+Profile Curvature
図 傾斜図(Slope)+Longitudinal Curvature
図 傾斜図(Slope)+Maximal Curvature
図 傾斜図(Slope)+Cross-Sectional Curvature
図 傾斜図(Slope)+General Curvature
どうでしょうか?
様々な立体図で見ると、土砂崩れした斜面の上流部には、沢地形があり、崖の手前で大きく南に曲がっています。かなり水の集まりやすい地形ですね。
このような地形は、大規模な土砂崩れが発生する可能性が高いので気をつけなければいけません。特に北海道の海岸沿いで、隆起した地形はこのような地形が多いかもしれませんね。
立体図で見ると、このような地形がよく分かるのでいいですね。
「Cross-Sectional Curvature」や「General Curvature」で見ると、隠れた水道(みずみち)も地図で見ることができるようですね。
このような立体図は、10〜30分程度で簡単に作成することができます。
災害後の復旧計画にも、立体図を参考にすることができそうです。基盤地図情報の10mメッシュでも十分使えそうですね。
2016年11月20日
QGISで「CS立体図」の「立体図」を作ってみた
注意!この記事はかなり古い情報です。現在のQGISとは操作方法が違いますので注意してください
「CS立体図」という地図をご存知でしょうか?
CS立体図は、傾斜図と曲率図と標高図を組み合わせた地図で、長野県林業総合センターで開発した、微地形を判読しやすくされた立体地図です。
・地形判読を行いやすくする立体図法
(http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/documents/iku_cs.pdf)
・数値地形データを用いた「微地形図」の作成方法
(http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/documents/bichikei.pdf)
私も最近知ったのですが、林業の路網選定などには、非常に役に立つ地図のようです。
長野県林業総合センターでは、ArcGISでの作成方法が紹介されています。この中では、「立体図」と「曲率図」を作成して重ね合わせる手法が紹介されていますが、「立体図」だけでもかなり立体的に見えるので、ここではQGISで作る、CS立体図のうちの立体図の作成方法を紹介します。
図:ニセコアンヌプリ周辺の立体図
※今回作成する立体図の、曲率については、「Profile Curvature」という計算方法を使用していますが、これが本当に正しいのか、著者はわかっていません。もし他にいい方法があれば情報をください。
「Profile Curvature」で作成した地図は、等高線上の地形のシワが強調されて表現されます。
1. 標高DEMを準備する
- 標高DEMを基盤地図情報などからダウンロードします。株式会社エコリスの変換ツールを使って標高DEM(Tiffファイル)を作成します。
- 作成したファイル(merge.tif)は、日本語を含まないフォルダ、ファイル名にして保存します。
2. QGISのレイヤに標高DEMを追加する
- 標高DEMをQGISに追加します。標高DEMのファイルをマップキャンバスにドラッグ&ドロップするとレイヤに追加することができます。
図:レイヤに追加した標高DEM
3. プロセッシングツールで傾斜と曲率を計算
- プロセッシングツールを使って、標高DEMから傾斜図と曲率図を作成します。メニューに「プロセッシング」が表示されていない場合は、「プラグイン」→「プラグインの管理とインストール」で「Processing」を有効にしてください。
- メニュー「プロセッシング」→「ツールボックス」を選択して、プロセッシングツールボックスを表示します。
- 「SAGA」→「Terrain Analysis - Morphometry」→「Slope aspect Curvature」を選択します。
- 表示されたダイアログの「Elevation」に標高DEMレイヤを選択します。「Method」「Slope Units」「Aspect Units」は、デフォルト設定で構いません。
- このコマンドは、たくさんのレイヤを作成する事ができますが、必要なのは「Slope」「Profile Curvature」の2つだけですので、それ以外の「アルゴリズムの実行後に出力ファイルを開く」のチェックを外します。
- 「Run」ボタンをクリックすると、処理が開始され、新しいレイヤ「Slope」「Profile Curvature」が作成されます。
図:「Slope aspect Curvature」のダイアログ
4. レイヤを名前をつけて保存する
- 作成されたレイヤは、一時レイヤに作成されます。そのため、QGISを終了したら削除されてしまいます。
- レイヤを右クリックして、「名前をつけて保存する」を選択します。
- 「出力モード」を「生データ」にします。
- 「形式」を「GTiff」にします。
- 「パス」の「参照」ボタンをクリックして、ファイルの保存先を設定します。
- 座標参照形を設定する必要がある場合は、「CRS」で選択します。
- 「OK」ボタンをクリックすると、ファイルが保存されて、レイヤに追加されます。
- 元のレイヤ(Slope、Profile Curvature)は削除します。
図:「名前をつけて保存する」のダイアログ
5. 傾斜レイヤのスタイルを設定する
- 傾斜レイヤのプロパティを開いて、「スタイル」を選択します。
- 「レンダータイプ」を「単バンド疑似カラー」にします。
- 「色」を「Reds」にします。自動的にリストに数値が分類されます。
- 「カラーレンダリング」の「混合モード」を「乗算」にします。
- 「OK」ボタンをクリックするとスタイルの設定ができます。
図:傾斜レイヤのプロパティのスタイル設定
6. 曲率レイヤのスタイルを設定する
- 曲率レイヤのプロパティを開いて、「スタイル」を選択します。
- 「レンダータイプ」を「単バンド疑似カラー」にします。
- 「色」を「Blues」にします。自動的にリストに数値が分類されます。
- 今回は、マイナス側を青にしたいので、「反転」にチェックを付けます。
- 「カラーレンダリング」の「混合モード」を「乗算」にします。
- 「OK」ボタンをクリックするとスタイルの設定ができます。
図:曲率レイヤのプロパティのスタイル設定
7. 必要であれば、地理院地図などを背景に追加する
長野県林業総合センターの資料では、標高DEMも重ねていますが、標高DEMは重ねなくても立体的でわかりやすいと思います。
図:地理院地図を重ねた立体図
CS立体図は、赤色立体地図よりも地すべりなどの地形が見やすいように感じます。
長野県では、1mメッシュDEMを利用していますので、かなりの微地形を確認することができるようですが、基盤地図情報の10mメッシュDEMでも十分地形判読を行うことができます。
地質図や地すべり位置図などを重ねることで、更に地形判読を行いやすくなると思います。
〜2016年11月24日追記〜
長野県林業総合センターのCS立体図の中の人から、ご連絡をいただきました。
CS立体図の作成方法は、オープンなので自由に紹介して使ってほしいとのことです。CS立体図の普及によって、林業がもっと発展すれば嬉しいとのことでした。大変素晴らしい考え方です。
また、長野県では全国の10mメッシュDEMを使って、CS立体図を作成済みとのことです。そのうち、自由にダウンロードできるようになると思いますので、非常に楽しみです。
ダウンロードできるようになれば、また紹介したいと思います。