注意!この記事はかなり古い情報です。現在のQGISとは操作方法が違いますので注意してください
「CS立体図」という地図をご存知でしょうか?
CS立体図は、傾斜図と曲率図と標高図を組み合わせた地図で、長野県林業総合センターで開発した、微地形を判読しやすくされた立体地図です。
・地形判読を行いやすくする立体図法
(http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/documents/iku_cs.pdf)
・数値地形データを用いた「微地形図」の作成方法
(http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/documents/bichikei.pdf)
私も最近知ったのですが、林業の路網選定などには、非常に役に立つ地図のようです。
長野県林業総合センターでは、ArcGISでの作成方法が紹介されています。この中では、「立体図」と「曲率図」を作成して重ね合わせる手法が紹介されていますが、「立体図」だけでもかなり立体的に見えるので、ここではQGISで作る、CS立体図のうちの立体図の作成方法を紹介します。
図:ニセコアンヌプリ周辺の立体図
※今回作成する立体図の、曲率については、「Profile Curvature」という計算方法を使用していますが、これが本当に正しいのか、著者はわかっていません。もし他にいい方法があれば情報をください。
「Profile Curvature」で作成した地図は、等高線上の地形のシワが強調されて表現されます。
1. 標高DEMを準備する
- 標高DEMを基盤地図情報などからダウンロードします。株式会社エコリスの変換ツールを使って標高DEM(Tiffファイル)を作成します。
- 作成したファイル(merge.tif)は、日本語を含まないフォルダ、ファイル名にして保存します。
2. QGISのレイヤに標高DEMを追加する
- 標高DEMをQGISに追加します。標高DEMのファイルをマップキャンバスにドラッグ&ドロップするとレイヤに追加することができます。
図:レイヤに追加した標高DEM
3. プロセッシングツールで傾斜と曲率を計算
- プロセッシングツールを使って、標高DEMから傾斜図と曲率図を作成します。メニューに「プロセッシング」が表示されていない場合は、「プラグイン」→「プラグインの管理とインストール」で「Processing」を有効にしてください。
- メニュー「プロセッシング」→「ツールボックス」を選択して、プロセッシングツールボックスを表示します。
- 「SAGA」→「Terrain Analysis - Morphometry」→「Slope aspect Curvature」を選択します。
- 表示されたダイアログの「Elevation」に標高DEMレイヤを選択します。「Method」「Slope Units」「Aspect Units」は、デフォルト設定で構いません。
- このコマンドは、たくさんのレイヤを作成する事ができますが、必要なのは「Slope」「Profile Curvature」の2つだけですので、それ以外の「アルゴリズムの実行後に出力ファイルを開く」のチェックを外します。
- 「Run」ボタンをクリックすると、処理が開始され、新しいレイヤ「Slope」「Profile Curvature」が作成されます。
図:「Slope aspect Curvature」のダイアログ
4. レイヤを名前をつけて保存する
- 作成されたレイヤは、一時レイヤに作成されます。そのため、QGISを終了したら削除されてしまいます。
- レイヤを右クリックして、「名前をつけて保存する」を選択します。
- 「出力モード」を「生データ」にします。
- 「形式」を「GTiff」にします。
- 「パス」の「参照」ボタンをクリックして、ファイルの保存先を設定します。
- 座標参照形を設定する必要がある場合は、「CRS」で選択します。
- 「OK」ボタンをクリックすると、ファイルが保存されて、レイヤに追加されます。
- 元のレイヤ(Slope、Profile Curvature)は削除します。
図:「名前をつけて保存する」のダイアログ
5. 傾斜レイヤのスタイルを設定する
- 傾斜レイヤのプロパティを開いて、「スタイル」を選択します。
- 「レンダータイプ」を「単バンド疑似カラー」にします。
- 「色」を「Reds」にします。自動的にリストに数値が分類されます。
- 「カラーレンダリング」の「混合モード」を「乗算」にします。
- 「OK」ボタンをクリックするとスタイルの設定ができます。
図:傾斜レイヤのプロパティのスタイル設定
6. 曲率レイヤのスタイルを設定する
- 曲率レイヤのプロパティを開いて、「スタイル」を選択します。
- 「レンダータイプ」を「単バンド疑似カラー」にします。
- 「色」を「Blues」にします。自動的にリストに数値が分類されます。
- 今回は、マイナス側を青にしたいので、「反転」にチェックを付けます。
- 「カラーレンダリング」の「混合モード」を「乗算」にします。
- 「OK」ボタンをクリックするとスタイルの設定ができます。
図:曲率レイヤのプロパティのスタイル設定
7. 必要であれば、地理院地図などを背景に追加する
長野県林業総合センターの資料では、標高DEMも重ねていますが、標高DEMは重ねなくても立体的でわかりやすいと思います。
図:地理院地図を重ねた立体図
CS立体図は、赤色立体地図よりも地すべりなどの地形が見やすいように感じます。
長野県では、1mメッシュDEMを利用していますので、かなりの微地形を確認することができるようですが、基盤地図情報の10mメッシュDEMでも十分地形判読を行うことができます。
地質図や地すべり位置図などを重ねることで、更に地形判読を行いやすくなると思います。
〜2016年11月24日追記〜
長野県林業総合センターのCS立体図の中の人から、ご連絡をいただきました。
CS立体図の作成方法は、オープンなので自由に紹介して使ってほしいとのことです。CS立体図の普及によって、林業がもっと発展すれば嬉しいとのことでした。大変素晴らしい考え方です。
また、長野県では全国の10mメッシュDEMを使って、CS立体図を作成済みとのことです。そのうち、自由にダウンロードできるようになると思いますので、非常に楽しみです。
ダウンロードできるようになれば、また紹介したいと思います。
私古墳の研究のため、ある場所の尾根を可搬型レ―ザースキャナーで測量しました。
XYZのポイントデータを、デリミテットテキストとしてQGISに取り込みました。
次いでQGISのプロセッシングツールSAGAのRaster cremation toolでラスター化しました。
その際セルサイズを0.1としました。
このラスターレーヤをDEMレイヤーとしてCSMapMakerで立体地図を作成しました。
出力された画像では、傾斜や凹凸が細かすぎて全体の地形の起伏が把握できません。
Gaussian Filterで平滑化するのかと思いパラメーターのRadiuseを最大に設定しても、うまくいきません。
またラスターツールのリサンプリングツールで、セルサイズを大きく取り、再度細分化しても平滑にはならないようです。
尾根全体のおおまかな、傾斜と凹凸を視覚化するにはどうすれば良いでしょうか?
ちなみにレーザースキャナーで取得したポイントデータは、1千万点を超えます。1平方メートルあたり数百点になるかと思います。
一応植生を除いた地表データですが、バラツキがあり微細な凹凸として表現されたと思われます。
ごめんどうかと思いますが、ご教授いただければ幸いです。よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。CS立体図の開発者様にも確認してみましたが、データを見てみないとなんとも言えません。
ガウシアンフィルタの設定値で、対応はできそうですが、DEM自体がきちんとフィルタされたデータかどうかにもよります。あまりエラー値が多いと、正しい処理はできません。
ブログのコメントだと、なかなかやり取りしづらいので、「QGIS初心者質問グループ」に投稿していただけませんか?
「QGIS初心者質問グループ」で検索できます。
一部分でもいいので、データが提供できるなら、そちらで、データのやり取りなどしましょう。
よろしくお願いします。
キタ
私の単純な誤りでした。
CSーMAPで立体化する時、CS-MAPのリストボックスに表示されたレイヤーのまま処理を行ってしまっていた。そのため、いつも元画像の立体化が行われていた。
本来はリストボックスで、フィルター処理などを行ったレイヤーを選択すべきであった。
なにぶんにも硬化した頭でQGISを理解するには多大な時間がかかる。
お世話かけました。